蜀の諸葛孔明は、様々な兵器を開発したり改良した発明家と言われています。
実際には諸葛孔明自身よりも、妻の黄夫人の方が、発明家としての素質があり、孔明の発明と言うのは、黄夫人によるものだったという話もあります。
孔明の家では、夫婦が仲良く、発明品を開発していたのかもしれませんね。
いずれにしても、諸葛孔明がいろいろな兵器を作ったことは、三国志演義の創作だけの話ではなく、事実です。
蜀は、魏や呉に比べて国土が狭く、物資も少なく、兵員も不足していましたから、兵器の改良によりその差を埋めようとしたのでしょう。
諸葛孔明が作らせた武器の一つとして、蒲元という刀工による「神刀」があります。
蒲元は、諸葛孔明が登用した刀工、あるいは発明家です。
蒲元は、諸葛孔明の命を受け、現在の陝西省にある斜谷において、3000本の精巧な鋼刀を製造したとされています。
この鋼刀は、竹を簡単に斬ることができ、鋭利さにおいて、当時の他の直刀を凌駕していたことから、「神刀」と名付けられました。
蒲元は、刃の部分の鉄を硬化させる「焼き入れ」と呼ばれる工程を特に重視していたようで、川の水質成分により、鉄の硬度が変わるということを掴んでいました。
蜀の長江の水が一番良いと考えていたようで、部下に成都まで水くみに行かせたところ、戻ってきた水を蒲元が確かめると、「涪水の水が混じっている。これではダメだ」と見抜きました。実はその部下は、成都から水を運ぶ途中で、水をこぼしてしまい、途中の涪水で水を足していたのでした。
水質成分により、鉄の硬度が変わることを知っていた蒲元をごまかすことはできなかったという話です。
もちろん、「神刀」だけでは、魏との戦いにおいて、ゲームチェンジャーとなることはありませんでしたが、諸葛孔明や蒲元の努力は、科学技術の進歩に一定程度貢献したと言えるでしょう。
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「三国志演義」は民間で語られてきた伝説を明の時代にまとめたもので、読み物として大変面白い活劇となっています。三國志のゲームや漫画や小説はこちらをベースとしています。
一方、「正史三国志」は、歴史書で、実際に起きた事実を列記したものです。そのため、小説として読むのはきついものがあります。
しかし、「三国志演義」と「正史三国志」とでは登場人物は同じでも、能力や性格が違っていたり、人間関係にも違いがあります。また、一方には登場しない人物もいたり、演義では敵役としてあっさり殺されているのに正史では長生きしている人もいます。
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